普遍と正統
普遍と正統
「人類は皆兄弟、、、、 おえ〜っ」
本日のお題は近親憎悪でございます。
大きなニュースが飛び込んできた。ローマカトリックのフランシスコ法王とロシア正教会のキリル総主教が、2月12日にキューバで会談するという。教会の東西分裂が決定的になったいわゆる大シスマ(1054年)からほぼ1000年、トップの初顔合わせが実現する。
これを聞いて、数年前のニュースを思い出した。最澄・空海の仲違いから1200年経ち、天台・真言両宗が初めて和解したという出来事。(2009年)
東西教会の会談は、テロ集団が中東方面などでキリスト教徒の虐殺を続けていることが契機になったとされている。会談場所がキューバであることや、最近法王とプーチンが会っているということも多方面の様々な思惑を連想させる。だが、いささかナイーブに過ぎるかも知れないが、この会談がエキュメニカルな「和解」の動き、さらに言えば世界を良き方向に再編する端緒の一つではないかと期待したい。何が良き方向なのか合意を得るのは困難だが、命あるちいさき者たちにとって、無差別の殺戮が良き方向でないことだけは確かだろう。
キリスト教の樹形図というのがある。時間軸を進むにつれて、宗派が細分化されていくさまが一見して了解される。他の宗教でも似た樹形図・系図があるに違いない。大河が海に近づくにつれて支流を増やし、ナイルデルタをつくるがごとくである。自分の先祖がメディチ家だとか平氏だとか岸信介だとか、お家柄の良い方々は過去との繋がりで自分のスカスカなアイデンティティーを補強しようとしているように見えることがあるが、そのことと表裏関係だろう、宗教の樹形図末端にうごめく衆生は「横に流れるあいつらとは関わりないんだもんね」を主張する。「カトリック」は「普遍」、「オーソドックス(正教)」は「正統」と云う意味だ。ラーメン屋や家具屋、任侠関係の方々が「元祖」や「本家」を振り回すお家騒動と何が違うのだろう。海に流れ込んでしまえば一つなのに。
そもそも、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は、全て同じ唯一の神を奉じているのではなかったか。アラブ地方で用いられているキリスト教の聖書は、神=ヤハウェのことをアッラーと表記している。
2016年2月7日日曜日