現場
現場
砂漠の中で、前代未聞・空前絶後の大らかな施工者とともに、いつ終わるとも知れぬ現場に付き合って半年が経つ。工程表も組まずに施工を始める自信たっぷりの方々である。回答が分からないのに調子に乗って手を挙げる小学生のようだと云ったら、小学生に失礼だろう。出来る裏付けが無いのに何にでも飛びつく蛮勇。どうやったら出来るのかを考えなくても何とかなると云う前向きな楽天的思考をお持ちなのだろう。もしかしたら砂漠の熱と砂にやられて、大事な部分が壊れているのかもしれない、思考の不自由な可哀想な方々なのかも知れない。ファラオの時代から今に至るまで5000年間、独裁権力の下で虐げられ熟成された奴隷根性が、呆れる程大きく花開いている。そしてプライドだけはやけに高い。嗚呼。
精度の高さなど求むべくも無いことは分かってはいるが、水平・垂直・平行ぐらいは意識して欲しいんですけど。「どうすんだよこの曲がった柱!」「どうすりゃつくれるんだこの斜めの床!」現場を見て呆れる度に、コルビュジエやカーンの名作がインドやバングラデシュの前近代的ローテクをもちいて成し遂げられたことを心の支えにして、何とか怒りが爆発するのを抑えている。
ただ、今までの経験上、建築は現場が動いている期間が一番面白い。ゲーリーだったかな。「どんな平凡な建築でも、現場が動いている時は創造的なものだ」だ。設計には自信があるが、EJUSTは竣工したら平凡な建築群になってしまうのかどうかは分からない。そうだとしても、今がこのプロジェクトの大トロ部分であることは間違いない。と思って、自分を奮い立たせることにする。
だいぶ疲れて来た。
2018年8月7日火曜日