エジプト23
エジプト23
0506
4時のバスでRが帰って、こちらもすぐに帰る。夕方の散歩がしたいから。一度まともな散歩をしてしまうと、歩かないと落ち着かない。昨日の後半コースを逆回りで3000歩ぐらい稼ぐ。
またしてもホラーを見ながら残ったカレーを夕食にすべく準備を始めたが、宿舎の外壁に「Guest House」というサインを付ける為、この部屋のすぐ外側の壁で盛大にアンカー作業している。あのなあ、5時半過ぎてんのにうるさいんだよ。客のいない昼間にやんなさいよそんな作業。ホラー映画の叫び声も聞こえなくなっちまうじゃねえか。フロントに苦情を伝え、うるさいのヤメレと言ってもらう。ガガガガ音は無くなったが、静かな作業は続けている模様。
カレーは美味しかったが、こんなに長時間電子レンジを使って良いものかどうか。
安倍はまだ辞めていない。
0507
G学長と話していると、この辺りの人々の中で例外的に真っ当な精神—これが何を指すのか説明困難だが、西洋的合理主義、と云うのともまた違う、志の高さなのか、あるいは全体を俯瞰する視点の高さなのか、人間性の賛美なのか、それを人間の尊厳へのまなざしと云うべきか、地べたで蠢いている有象無象の連中とは隔絶したもの—を感じる。だからなのか、彼のことをエジプトの人たちも皆尊敬している筈なのに、なかなか言うことが通じない。インドでガンジーは多くの国民に尊敬されているが、ガンジーの行動に倣う人は少ない、のと相似形か。
「これから150年建ち続ける建物を造るのに、今焦ってどうするのか」完全同意。
4時に事務所を出て、今日も散歩。ピラミッド型の建物の脇を南北に延びている道を南に歩く。大きな環状道路。ここも工事中の戸建てだらけで、誰も住んでいる気配がない。ベッヒャー風に工事中の目についた建物を撮る。夕方5時を過ぎると、時間が分かっているかのように野犬が群れ始める。遠吠えを合図にして集まるのかこいつら。怖い。犬が目立ち始めたエリアを早足大股で通り過ぎ、やっとこさ宿舎に戻る。今日は約6000歩。
夜はまたステーキと焼野菜。ステーキは解凍に失敗してイマイチ。どうすれば失敗するかが分かった。
ホラー映画を見ながら黒霧。窓の外では野犬の吠える声がうるさい。
0508
朝飯、また一歩後退。折角学長に良くなって来たことを伝えたのに。
今日も4時に仕事を終え、夕方の散歩。犬に吠えられるのが嫌なので5時までに宿舎にたどり着くようなルート設定で歩く。ベッヒャー風写真も。1日約6000歩。
夜は米を4合炊き、カレーの残りをかけて食す。お伴は相変わらずのホラー映画。ビール2本と黒霧。これで黒霧はおしまい。
0509
朝食はだいぶ手抜き。
南仏旅程を考え始める。
エジプトの市民一般は、SISIを筆頭とする権力にへつらうことが自分の最優先の生き方だと信じている節がある。「ドクトル」という呼称が必要以上に尊ばれるのもその国民性の表出だろう。ファラオの時代から何も変わっていない。そういう人たちに、建築は「重力・風力・地震力に対抗することが最重要。安全が全てに優先する」という当たり前のことがなかなか伝わらない。「権力」が最優先・最重要課題だからだ。我々がいなくなるとどうなるかを見てみたい気もする。もう2ヶ月半だ。だいぶ草臥れてきた。
散歩して今日は約8500歩。
夕食は冷凍ステーキをやっつけることにした。焼き野菜と一緒に。
2018年5月6日日曜日