淡野弓子+武久源造
淡野弓子+武久源造
4月3日の『ときの忘れもの拾遺・ギャラリーコンサート』のため、淡野弓子さんの歌と武久源造さんのスクエアピアノによるプログラムの準備が始まった。悲しいことに今回もまた演奏当日聴くことが出来ないので、GPを覗かせてもらうことにした。それでなくても個性的な二人のぶつかり合いなのだが、スクエアピアノの音が彼らの演奏をさらに独特のものに結晶している印象。
このスクエアピアノは、1830年頃にウィーンで制作されたオリジナルを大阪音大が所有していたが、大学が手放すことになり源造さんのところにやって来たという。「金持ちのところには知らないうちにさらにお金が集まってくるというけど、ボクの場合は楽器が楽器を呼んでこんなに集まっちゃった。」と言って笑う源造さんのスタジオには6台の鍵盤楽器がひしめいている。
この楽器、彼のところにやって来た当初はまともな音が出なかったが、全ての弦を自分で張替えて(2回も)ようやく音が出るようになったという。この楽器は名前の通り四角いテーブル型をしていて、演奏していない時には蓋を閉めて実際にテーブル/作業台として使える仕様になっている。コンサート会場で弾くためというよりは、家庭でくつろぎながら楽しむための楽器だった。金属で補強されていないにも関わらず筐体は100kgに迫る重量があり、その重さのお陰で、独特の硬質な音を獲得しているに違いない。
作曲者や楽器にまつわる面白い話を聞きながら、演奏を楽しむ贅沢なひと時。本番を聴けないのが返す返すも残念。
2018年2月21日水曜日