Shunske SATO

 


All of Bach というプロジェクトをネットで見つけ、そこでコンサートマスターをしている佐藤俊介君のヴァイオリンが手放しで好きになった。どんな曲を弾いても素晴らしい。何の抵抗もなく音楽が体の奥深い所に届く感覚。こんなヴァイオリンは今までなかった。ヴィルトオーゾと呼ばれる巨匠ヴァイオリニストはキラ星の如くいたが、彼らの演奏は自己を音楽に仮託して表現しようとしていることが、佐藤俊介君の演奏を聴いてみると良く分かる。彼の演奏は、自己表現の押し付けがましい所が皆無、完全に開いている。天が全開し音楽が丸裸で降ってきている。


6月24日、その佐藤俊介様が三鷹に来た。鈴木秀美指揮のOLCでベートーヴェンのVn.協奏曲。何と言えば良いのだろう、この曲の初演に立会ったような感覚、だろうか、今まで何度も聞いた筈のこの曲が、新しい命を吹き込まれて新鮮に響いている。総毛立ち、泣いた。


演奏会終了後に、ロビーで佐藤俊介先生を待ち伏せしサインをおねだりした。積極的に人にサインをもらうのは人生初。All of Bach をいつも聴いている事、プロジェクトの完成を心待ちにしている事、佐藤俊介先生を勝手に師と仰ぎ自分の演奏のお手本にしている事、なんだか恋を打ち明ける少年みたいに浮き足立ってしまっている。そんなキモいおじさんの告白を嫌な顔ひとつせず聞いてくれている佐藤俊介先生。


ああ、あなたと同じ時代にいる事を、何と感謝すれば良いのだろう。

 

2017年8月9日水曜日

 
 

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