サマーコンサート2017
サマーコンサート2017
「本郷教会サマーコンサート2017」で武久源造の新曲『万葉集による六つの作品』を聴く。世界初演。シュッツ合唱団・東京はこの曲を携えて9月にドイツ演奏旅行をするとのこと。曲に用いた万葉歌が事前に分かったので、斎藤茂吉の『万葉秀歌』を取り出したり、井上靖の『額田女王』を読んでみたりする。今は主権国家の体をなさないゴミ溜みたいなところに成り下がってしまっているが、7世紀の日本、指導層たちの持つ未来への夢と希望が沸騰していて面白い。
にぎたづに ふなのりせむと つきまてば
しほもかなひぬ いまはこぎいでな
熟田津尓 船乗世武登 月待者
潮毛可奈比沼 今者許藝乞菜
額田王のアカペラ合唱が印象的。ペロタンのオルガヌムに、日本の労働歌を織り交ぜて構成されている。にぎたづは今の道後温泉あたりらしい。源造さんの故郷だな。深読みすると、他の歌も全部源造さん自身と深く関わる内容に思える。曲全体もおおらかで骨太、ユーモアに溢れた作品。ドイツでも楽しんできて下さい。
バッハのカンタータは46番。冒頭は旧約『哀歌』から、ネブカドネザルによるエルサレム神殿の破壊と捕囚を嘆く歌。風景を想起すると、どうしても原爆後の広島の映像が目に浮かぶ。コンミスはユビキタス・バッハ最年少記録更新の奈々子ちゃん11歳。遠藤、田中の名手を加え、充実のVn.パートだった。
最後にマルチン・ルター作詞作曲の賛美歌『神はわが砦』を聴衆の方々と一緒に全員合唱。今年はルターの宗教改革500年記念。
2017年8月20日日曜日