ファ●スト

 


「海外生活が長いと、どんどん国粋主義者になってしまう。」という話を学生の時分に聞いた。最近よく思い出す。これは、当時石油プラント建設のために千代田化工から派遣されサウジアラビアに常駐していたKさん(団塊の世代)から、一時帰国の際に聞いた話。その時我々は、Kさんの奥様による心尽くしの和食を囲み宴を開いていたのであった。酒も飲めない異国での常駐が、人間にどんな内的変化をもたらすのか、その時には想像するしかなかったが、今、自分が似たようなエリアに時々出張する立場になって、漸くKさんがどんな気分で過ごしていたのか、実感を伴って分かりはじめている。


帰国後、取る物も取り敢えず居酒屋に直行、日本語で注文し、日本のビールを飲んで、厚揚げ(たこ焼きも可)を食い、円で支払う。その時に感じる「あぁ、日本は良い国だなぁ」は「あぁ、日本があんな国じゃなくて良かった」という気分と表裏一体の関係にある。


小池百合子都知事がエジプトに留学していた時代、かの国の異国度は今と比較にならない程強烈だったろう。情報も今のように簡単に入手できない時代に、大和撫子が混沌と喧噪と砂塵の街で暮らしたのであれば、消えることの無い印象を植え付けられたに違いない。そこで何があったかは知らないし、ここから先は想像でしかないが、エジプトでの滞在時間が積もるにつれて国粋主義的気質が醸成されていったとしても無理はない。「あぁ、日本がこんな国じゃなくてよかった。」


だが、日本はどんな国なのか?


エジプトで極右的国粋主義を醸成した小池百合子は、日本会議に名を連ねる現行憲法破棄論者であり、核武装容認論者である。都民ファ●ストに投票した有権者の何割がそれを知っていたのか?小池はいずれ「都民」を「国民」と置き換え、国民ファ●スト党を旗揚げし国政に打って出ると予想しておこう。そうなれば「非国民」という言葉がまた跋扈する時代がやってくる。「美しい国、日本」「あぁ、日本はすばらしい」などとお花畑的妄言を呟いている場合ではない。美しい自然は人の手が作ったものではないし、人が作ったありとあらゆるシステムは全て、劇的に劣化している。前回「非国民」という言葉が流行ったのは、盧溝橋事件以降のことだった。


1936 東京オリンピック開催権獲得

1936 ベルリンオリンピック

1937 盧溝橋事件〜日中戦争

1938 国家総動員法

1938 オリンピック開催権返上

1940 日独伊三国同盟

1940 大政翼賛会

1941 真珠湾攻撃

 

2017年7月5日水曜日

 
 

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