母の火葬

 


2015年4月5日に亡くなった母は、父同様、浜松医科大学に献体し、その遺体が医学生の解剖実習のため用いられ、2017年7月27日、浜松斎場にて火葬された。火葬には、母の遺体を用いて実習をした医学部2年の4人と、担当教授が立ち会ってくださった。医学生は4人共、一度社会人になったあと、または他学部を卒業した後に志が与えられ、医学部に入学し直した経歴を持っていて、20歳前後の他の学生とは目に見えて違った落着き方をしている。


火葬完了を待つ1時間程の間に、医学生4人は母の遺体について、我々家族は生前の母について話す。遺体は「綺麗だった」という。筋肉も骨もしっかりしていて教科書通りの肉体であったことが彷彿とされるとのことだった。死の直前まで、痛みもなく穏やかな過ごし方が出来たからかも知れない。


全ての医学生が外科医になるわけではないが、全ての医学生は解剖実習を経験する。生と死が厳しく峻別される場に立ち会うことが、彼らの将来にとって限り無く貴重な体験になるのは間違いないだろう。死してなお人に仕えた母は、リン酸カルシウムの骨片になって小さな骨壺に入った。9月に、父と同じ香貫教会の教会墓地に納骨の予定。


翌日、医学生からメールを戴いた。

「この度は、人体解剖実習という必要かつ非常に貴重な体験をさせていただき、献体御本人とその御遺族の方々に改めて深く感謝申し上げます。実習は大変厳粛な雰囲気の中行われ、私共は人体に関する知識を身につけると共に、心も成長することができたように思います。この実習での経験を生かし、将来良き医師になれるよう日々研鑽を積んで参ります。」

 

2017年7月28日金曜日

 
 

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