ハオチェン・チャン

 


ハオチェン・チャン(张 昊辰・Haochen Zhang)ピアノリサイタル@紀尾井ホール


シューマン: 子どもの情景 op.15

シューマン: 交響的練習曲 op.13

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リスト: 超絶技巧練習曲集 S.139から

      第5番「鬼火」

      第12番「雪あらし」

ヤナーチェク: 霧の中で

プロコフィエフ: ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 op.83「戦争ソナタ」

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アンコール

モーツァルト(ヴォロドス編): トルコ行進曲

ショパン: ノクターン 嬰ハ短調(遺作)

シューベルト: 即興曲 変ロ長調 D935-3


結構空席が目立つ。前半はチケットの指定通り1階バルコニー席に座ったが、超絶技巧が並んでいる後半は、あらかじめ狙いを定めた2階バルコニー席、ピアニストの右後方斜め上、指先の動きが見える席に移動。


指先で紡ぐ音は確かにピアノから出ているのだが、それが彼の体に再び入り循環して音楽になる。どんな超絶技巧をスパークさせている時も、自分の音を良く聞いていることがこちらにも伝わってくる。その循環の過程をステージ上で演じている。開放された自然な動き。ピアノの音も素晴らしいかった。鍵盤に触れ、それを動かす筋肉の動きは、人それぞれ違うのだと云うことを再認識させてくれる程に。おそらく調律も具合よく仕上がっていたのだろう。休憩時間に調律師が微妙な調整をしていたのが印象的だった。


28歳のこのピアニストを知らなかった。辻井伸行君と同時に2009年のヴァン・クライバーンで優勝した経歴の持ち主らしい。音楽ビジネス方面の方々には「凄い演奏をするけど華が無い」などと言われているようでもあり、それが空席の多さに繋がっている気もする。そんな余計な事にとらわれず、消費されない音楽家になって欲しい。

 

2017年6月8日木曜日

 
 

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