染井吉野

 


コブシやハクモクレンが白い花をつけたと思ったら、東京が全国に先駆けて桜の開花を宣言した。桜はソメイヨシノ。ソメイヨシノは人間と同じくらいの寿命だと言われていることをどこかで聞いた。そして毎年一斉に咲き、一斉に散る。その付和雷同的な生き方も、人間的と言って良い気もする。多くの人が桜に特別の感情を抱く理由もその辺にあるのかも知れない。


桜についてネットで調べ始めたら、すぐに知った名前が出てきた。勝木俊雄さん。多摩森林科学園でサクラ保全担当のチーム長をされているらしい。ここにいたんですね。日本で桜の研究してるトップじゃないか。彼によると「ソメイヨシノの寿命は60年」とかいう説は正確ではなく、江戸時代の終わりぐらいから広まったソメイヨシノはまだ150年経つか経たないかの歴史しか持っておらず、我々は若い木しか見ていないということになるらしい。実際、弘前や小石川植物園には明治10年頃に植えられた、樹齢約140年のソメイヨシノがあるという。寿命が環境によって変化する所も、人間的と言えば人間的だ。そして一年で最も桜にとって過酷な環境になる季節がやってくる。


先日、また例の「宴会は22時まで」の汚い横断幕が井の頭公園の至る所に掲げられた。分かりましたよ、22時までには宴会始めます。

 

2017年3月21日火曜日

 
 

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