ARK NOVA 最終日
ARK NOVA 最終日
アーク・ノヴァ最後のコンサート。ルツェルン・フェスティバル・アカデミー修了生の弦楽四重奏によるボロディン2番とシェーファー12番。桑原香矢(Vn.)、東摩耶(Vn.)、大野若菜(Va.)、サイモン・トンプソン(Vc.)
ボロディンはともかく、シェーファーはあまり馴染の無い曲ということもあってか、あるいはこれまでクラシックのコンサートに行かない方々が多かったのか、楽章ごとに拍手の嵐。でも、こういうのはお行儀がいいだけのお高くとまったクラシックマニアに比べれば余程好感が持てる。実際、ボロディンの1楽章では明らかに緊張していた若い4人が、楽章間の拍手を聞いて、リラックスして演奏するようになった。
今ぼくらが良く知っているクラシックの曲も、初演の時には楽章ごとに拍手をしていたのではないかな。楽章ごとのブーイングもあっただろう。作曲者、演奏者、聴衆が一体になって新しい音楽の誕生を見守っていたに違いない。だが1930年頃のストコフスキーはフィラデルフィア管のコンサートでは「拍手厳禁、楽章間はともかく、曲が終わった後も静かにしみじみと静寂の中でその曲をかみしめなさい」と言っていたそうな。また逆に、1960年頃ピエール・モントゥーは「世界中で楽章間の拍手を手控える傾向にあるのは残念です。この習慣がいつどこから始まったのかはわかりませんが、これは作曲者の意思にそぐわないと思います」と言っている。時代や人によって随分変わるものだ。
クラシック音楽関係者は、妙なマナーを自分たちでつくってクラシックの敷居を高くするきらいがあるんじゃないかな。
ARK NOVAは、東京での今回の役目を終え、萎んで倉庫に仕舞われた。
2017年10月4日水曜日