チャイコフスキー

 


この夏随分楽しませてもらったムクゲが花をつけるのをやめたと思ったら、どこからともなく金木犀の濃厚な香りが漂ってくる。またこの時期がやってきた。


誕生日。山田風太郎の『人間臨終図鑑』を手にして「53歳で死んだ人々」の項を眺める。諸葛孔明、道元、足利尊氏、池大雅、喜多川歌麿らに混ざって、ピョートル・チャイコフスキーがいた。


音楽の世界では、ジャンルを問わず早逝の天才は珍しくない。シューベルト31、シド・ヴィシャス21、滝廉太郎23、ジャニス・ジョプリン27、モーツアルト35、カレン・カーペンター32、オーティス・レディング26、クリフォード・ブラウン25などなど。この人たちは、不謹慎ながら早死にだったことが「ウリ」になっているほどだが、あの髭面のチャイコフスキー翁が亡くなったのは今のボクの歳だった。この歳で死んでもまだ天才と呼ばれる人もいるのだな。


前掲書によれば、交響曲第6番「悲愴」を初演した4日後、1893年11月1日の夕方にペテルスブルグ、ライナー・ホテルでネヴァ河の生水を飲みコレラに感染、11月6日午後3時頃息を引き取ったとある。「彼の唇は黒くなり、指はミイラのように乾燥していた」


チャイコの6番「悲愴」で誕生日を祝うことにする。

 

2016年9月26日月曜日

 
 

▶

◀