音 2題(2)

 


今のデタラメな国に対する庵野の破壊願望が炸裂したと見える「シンゴジラ」。映画そのものは、見るといろんなことを言いたくなるような盛り込み方をしていて、各所でいろんな人が言っているのはそれぞれホントだと思う。だが、破壊の度合いが少し足りなかったのではないかな。


さて、問題は「極上爆音上映」である。音響システムにかける金額が尋常じゃないとして「イカレてる」「ふざけてる」「おかしいんじゃないの」と絶賛の嵐「立川シネマシティー」にWEB予約し、朝早く出かけて漸く体験することが出来た。


満席の映画館は久し振りだ。音は大きいだけじゃない。極めてクリアにセリフも聞こえる。無音のシーンはデジタルだからこその完全無音状態を実現している。ガラスの割れる繊細な音もゴジラが暴れ回る爆音の中ではっきり聞こえ、かつてオーディオマニアが性能チェックで使っていたグレゴリオ・パニアグアの『古代ギリシャの音楽』冒頭部分を思い出したりする。大音量の場面では「震ゴジラ」だ。空気はもちろんビンビン動いているが、その上明らかに建物の躯体も震動している。そのうち震動の疲労蓄積によって映画館が崩壊するのではないか心配になる。また、ホントに壊れたらこの極爆映画館はさらに有名になるのではないか。などと云うのは破壊願望か。


エンドロールで伊福部昭の『ゴジラ』をはじめ、懐かしい曲の数々が流れる。これらの録音はおそらく昔のものをそのまま使っていて、ゴジラ・マニアや庵野ファンには、録音の古さも含めたまらん選曲だと思うけど、「極爆上映」の場合は新しくデジタルで録り直してもらいたかったと言っておこう。

 

2016年9月19日月曜日

 
 

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