ときの忘れもの・拾遺

 


第3回ギャラリーコンサートに寄せて


今もあるのかどうか分かりませんが、小学校や中学校の音楽室には、作曲家達の額装された肖像画が何枚も飾られていました。音楽室に行くと光る目に睨まれて怖い思いをしたものです。クラシック音楽が嫌いになってしまった人は、あの肖像画が原因の一つかもしれません。そのこととは逆に、子供の頃の刷り込みが効果絶大なのでしょう、日本のクラシックコンサートではあの肖像画の作曲家ばかりが演奏される傾向にあるのではないでしょうか。いわゆるバブル期に作られた立派なコンサートホールで興行を成功させようと思えば、誰もが知っている作曲家の曲を選ぶのが当然です。ベートーベン、ブラームス、チャイコフスキー、時々マーラーやブルックナー。編成の大きなオーケストラ曲をプログラムに加えないと、オケの団員が暇になってしまうという事情もあるでしょう。


うろ覚えながら断言出来るのは、クルターク、ヒンデミット、ルトスワフスキ、彼らの肖像画は音楽室には無かったことです。彼ら3人の名前を聞いて、どんな容貌の方々なのか、それぞれどんな曲を作曲したのか直ちに思い起こせる人は、日本では明らかに少数派です。その知られざる作曲家達が、肖像画の代表選手、顔だけは誰でも知っている大バッハの曲に挟まれて、どんな表情を見せてくれるか、乞うご期待。


(ちなみに、ヒンデミットとルトスワフスキは、ズラを取ったバッハに似ていると思いますがどうでしょう。)

 

2016年8月20日土曜日

 
 

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