MITの版築

 


6月11日。MIT(前橋工科大学)建築学科の石川教授が教える2年生の授業、版築づくり実習の見学。講師としてこの授業を教えている「土の建築スペシャリスト」遠野未来さんは、同じ研究室の一級上の先輩で、久し振りに電話をかけたら快く見学を許可してくださった。学生時代に面識は無かったが、石川教授はふたつ上の先輩。有難いことである。


2012年からこの授業で版築の小さな小屋を作り始めて5年目、土と石灰の配合、骨材の粒度、型枠の材料、など毎年少しづつ違う試行を続けていて、既に4つのタイプの版築小屋が並んで建っている。5つ目の「作品」に取り組んでいる学生は約30名、砂を石灰と混ぜる係、霧吹きで材料に湿り気を与える係、型枠の中に入り棒で土を突き固める係など、いくつかのチームに別れて作業している。砂埃にまみれながらも和やかな雰囲気で楽しそう。土いじりをすると、人間が大きくなりそうだ。


エジプトの計画で外壁材料に版築を使うと決断する前までは、工程や効率、予算や法律にガンジガラメになっている現代建築で土を大々的に使うことは理想であっても、実現しないと思っていた。だが、世界、特にヨーロッパでは伝統的な材料/工法を現代建築で使うことが積極的に進められている。版築もその一つ。朽ちても産業廃棄物になることなくそのまま大地に戻ってゆく材料は環境負荷も極めて小さい。


MITの学生から、いずれ土に魅せられ土の建築に携わる人材が輩出されることを願う。エジプトに渡って建築現場を管理する魅力的な仕事も待っている。

 

2016年7月6日水曜日

 
 

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