版築

 


雨時々曇り時々豪雨@ラウフェン、スイス


レンタカーに乗って、豪雨の中バーゼルからラウフェンまでドライブ。ここにはH&deMがRicola社のために設計した建物がいくつかあるが、目的は版築を外壁に使った Herb Center。版築は英語で Rammed Earthというのだが、そのままGoogle翻訳にかけてみると「地球を突っ込みました」となる。まあ、その通りだが。型枠を組んでその中に石灰を混ぜた土を入れ、専用の突っつき棒で突いて固める。数センチの厚みで固まったら、次の土を入れ、また突っつく。人力でやる場合もあるが、大規模な場合は専用の機械を使う。これを何度も繰り返し、一定の高さになり所定の時間が経過したら型枠を外す。土と石灰だけ。地球を突っ込む作業である。壁を作りたい位置に型枠を組んでこの作業をするのが一般的だが、今回考えているのは版築によるPC。H&deMのHerb Center はPC版築の良い参考事例になる筈だ。


事前にスイス建築博物館のガイドツアーを申込んでいた。LさんとHさんの二人がガイドとして来てくれた。HさんはBaselの設計事務所Diener & Dienerに勤めている日本人。留学時代から数えると、こちらに10年以上住んでいるらしい。


現地に着いた時には運良く雨もあがって青空さえ見えている。建物の美しさもさることながら、牧草地が広がるまわりの景色が素晴らしい。さらに建物の中から濃厚なハーブの甘い香り。この香り、もちろんRicolaのハーブキャンディーを製造する過程で出る香りだ。プルーストじゃないけど、今後Ricolaのキャンディーを舐めると、スイスの版築建築を思い出すことになるだろう。


版築を見ると、その背後にある設計と施工の苦労が偲ばれる。非常に感銘を受けた。

 

2016年6月29日水曜日

 
 

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