レント
レント
ヨセフスの『ユダヤ戦記 』を読んでいる。一巻はマカバイ戦争から(大王と呼ばれた)ヘロデ王の死まで。ローマ、ギリシャ、レバント地方、エジプト。クレオパトラ(7世)の奸計がヘロデを利したことなど、興味深い。しかし、ヘロデ大王と云えばやはり建築。この本に登場する建築を調べながら読み進むと、彼が如何に建築に取り憑かれていたかがリアルに伝わってくる。ヒトラーとシュペアーの例を引くまでもなく、政治と建築は常に二人三脚で歩んできた。だが、大概悲劇で幕を閉じる。例に漏れず、ユダヤ戦争でヘロデがつくった建築はことごとく破壊し尽くされる。意識していたわけではないが、レントに相応しい本かも知れない。
イエスが神殿の境内を出て行かれるとき、弟子の一人が言った。「先生、御覧ください。なんとすばらしい石、なんとすばらしい建物でしょう。」 イエスは言われた。「これらの大きな建物を見ているのか。一つの石もここで崩されずに他の石の上に残ることはない。」 (マルコ13)
ああ、それにしても読むのに時間がかかる。子供に自分と同じ名前を付ける習慣、何とかならないのか。婚姻関係の乱れも相俟って、人間関係が混乱の極みである。同じ名前オンパレードだと誰が誰だか分からんじゃないか。と、皆が思うのを想定してだろう、巻末にヘロデ家の系図が付いている。だとしても何度も巻末をめくりながら読むことになるので、文庫本はすぐにヘタってくる。栞が2つ以上必要だな。
2016年3月1日火曜日