村上海賊の娘

 


出張のお伴に本を持つのを忘れ、成田の本屋で文庫本を探す。平積みの『村上海賊の娘』と目が合った。全四巻のうち二冊を入手。


わが家はたいした家柄でもなさそうなので、自分の先祖が源氏か平家かなどということにはまるで興味が無かったが、あるとき父から「うちの先祖は村上水軍じゃ」とウソかホントか分からない怪しい説を聞かされたことがある。村上水軍は中世の芸予諸島を縄張りにしていた瀬戸内海の海賊のこと。海賊が先祖、などとは大きな声で人に言えることではないものの、子供心には密かに誇らしいことでもあった。それから幾星霜、そんな話も忘れかけていた頃に『村上海賊の娘』という、自称海賊の末裔にとっては魅力的なタイトルの本が出たことを知り気になっていた。新しい小説は余程のことが無い限り文庫になったものを読むことにしている。空港の本屋での出会いはいいタイミングだった。


海賊衆の会話が広島弁丸出しで面白い。そのお陰もありグイグイ引き込まれた。この高揚感どこかで味わったと思ったら『仁義無き戦い』を見た時の感じだと気づいた。出張半ばであっという間に2冊読み終えてしまう。4冊買っておけばよかった。


帰ってきてすぐに残りの二冊も入手、即読了。以後歩き方、しゃべり方が菅原文太んようになっちょる。

 

2016年12月19日月曜日

 
 

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