スルタン=ハサン・モスク&マドラーサ
スルタン=ハサン・モスク&マドラーサ
スルタン=ハサン・モスク&マドラーサ@カイロ
マムルーク朝のスルタン、ナースィル・ハサンが建立したイスラム学校(マドラーサ)を併設したモスク。(1356-1363)
石壁が垂直に立ち上がる量感あふれる外観は、要塞のように見える。薄暗い内部の廊下には処々屋根の無い光井戸が設けられ、カイロの太陽が強烈なコントラストを描いている。入り口から数えると3度折れ曲がった廊下の先に、30m立方程もある大きな中庭が登場する。床は色とりどりの大理石を用いた幾何学模様のモザイクが施され、屋根は無い。すばらしいアプローチだ。庭の中央部には繊細な細工が施された8角形の泉亭。中庭に面する4立面には巨大なイーワーン。それぞれがマドラーサの教室となっていたようだ。イーワーンの一つにはミフラブ。ミフラブの背後には、建築完成前に殺害されたスルタン=ハサン自身の墓がある。
平面を想像すると、巨大な中庭を中心にとした典型的な十字架型カテドラルそのものだ。だからといって別の宗教から形式的なことをコピペしたわけではなかろう。単純な十字架状の平面を取り囲むように、マドラーサの小さな諸室が迷宮的に取り巻きこの建築の深みを作り上げている。
この建築は、先に訪ねたイブントゥールーンモスクにほど近い、オールドカイロ=イスラム地区にある。Google Earth で眺めると、二つの建物のキブラの方向が一致していないのが見て取れる。概念的な方向は地理学的な正確さに優先する、ということか。
2015年9月17日木曜日