アヤ・ソフィア

 


アヤ・ソフィアは25年前の印象と変わらず「山」だった。1500年の間に、何度も修復・補強を繰り返し今日の勇姿を保っている。オスマン帝国時代に大改修、大補強を担当したのは、他でもないシナンだった。


巨大なドームを四角い平面の上に載せるという無理難題を力技で実現したこの建物は、無理がたたって今も少しづつ変形し歪みつつあるのだろう。2階部分の床が波打っている。ドーム下部には大きな足場が天井まで組み立てられていて、空間の一部を占めている。壁には測量用のターゲットがそこかしこに貼られ、ピップエレキバンを貼りまくったアスリートのようにも見える。1500歳、満身創痍の巨人が人間ドックに入っているの感。それでも、マッチョなこの山はいまだに世界の中心に君臨していることを自覚しているようだ。(写真は擦り切れて軟らかく見える敷居)


アヤ・ソフィアの熱を冷まさずここでいきなりスレイマニエ・モスクに攻め入ると、感動のあまり精神の均衡が崩れてしまいそうになるだろうと思い、不用意にも近くのトプカピ宮殿を訪ねてみたら、ここもシナン建築のオンパレードだった。休まる暇がない。


ここはアヤ・ソフィアのような大空間では無く、住宅的スケールの諸室が連続する。複雑精緻な石の細工/美しく青きタイル/絢爛たるステンドグラスなど建築の細部に施される装飾部分が次々と変化しながら目に飛び込んで来る。加えてオスマン帝国絶頂期の宝飾品などが内部に展示されているので、華やかなことこの上ない。宝石屋でショーケースに群がるマダムたちと同じ目つきの人たちが、行列をもろともせずに群がっている。

(写真はあるパビリオンの外壁部分)

 

2015年6月26日金曜日

 
 

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