エコノミークラス症候群
エコノミークラス症候群
長時間のフライトは久し振りなので、勢い余って映画を6本も見てしまった。最初はHさんに勧めてもらった『Grand Budapest Hotel 』で映画の愉しさを堪能。だがあとは只の暇つぶしだった。本を読んでいれば良かったけど、持参した小説も滞在中の娯楽を考えると勿体なくて読み進められない。映画6本、さすがに目が痛い。これもエコノミー症候群か。一度乗り換えさらに2時間強。着陸前に靴を履こうとするも、足が浮腫んで靴に入らない。約16時間の移動で漸くal-Qāhiraに着いた。ほぼ定時。
ここにホテルまで運んでくれる運転手が迎えに来る筈だった。だが待てど暮らせど誰も来ない。地球の裏側。自動小銃のガードマンが闊歩する夜の閑散とした空港ロビーである。「孤独」の意味について考えたりするけれど、問題が解決するわけでもなく、誰か知人が来る気配も無い。
この状況の原因についていくつかの可能性が考えられる。
1 運転手がすっぽかした
2 迎えにくるターミナルを間違えている
3 日付を間違えている
4 4時間後別便で別ターミナルに到着する同僚Kを出迎え、こちらの出迎えを兼ねようとしている
5 普段の行状/心掛けの悪さ
いずれもやり場のない怒りで、アドレナリンが大量放出される状況である。ここで待っていてもしょうがないので4時間後の同僚K到着を当てにして、別のターミナル目指して移動することにした。これがまた珍道中。シャトルバスを見つけてそれに乗込むも、頻繁に停車していろんな人が乗降する。どこで降りたら良いのかさっぱり分からない。バスは空港で働く労働者専用バスの風情で、旅行や出張の人は皆無。窓の外を見ると、目的地のターミナルを示す看板がどんどん遠ざかって行く。慌てて運転手に確認すると、遠ざかるターミナルを指差している。空港敷地外に出ようとするバスを緊急停止させ、道の真ん中で降り、荷物引きずってターミナルまで数百メートル歩く羽目に。どこがシャトルなのだ。
ターミナルに着くと、到着ゲートの外に黒山の人だかり。深夜なのに子供もたくさんいて、空港への出迎えが一種のイベントのようなものになっているようだ。でも、なんで建物内に入らないで外で待っているのかと思ったら、到着ゲートのある建物内に入るには入場料がいるらしい。マジか?嗚呼、ベンチすら無い。運転手への呪いの言葉を口にしながら3時間その場で同僚Kの到着待ち。
エコノミー症候群と呪いの言葉の相乗効果で脳味噌が沸騰しかけた頃、笑顔で運転手登場、続いて同僚Kも笑顔で。引き摺られこちらも笑顔になってしまったではないか。
正解は4だな。または5か。
これからBorg El Arabのホテルに向かい、舗装されてはいるがデコボコの道を3時間ひた走ることになる。
2015年5月10日日曜日