太陽の船

 


大学院で同じ研究室だった黒河内さん、柏木さんとカイロで再会。黒河内さんとは9月、カイロ〜東京の同じ便に偶然乗り合わせ、カイロでの再会を約していた。二人は、ギザの大ピラミッドの足元から古王国時代の木造船、いわゆる「第2の太陽の船」を発掘・復元する任務を続けていらっしゃる。お目にかかって貴重なお話を聴けた。


クフ王のピラミッド脇から巨大な木造船が発見されたのは1954年。28年かけて発掘・復元され、現在は発掘位置に建てられた博物館の中でその偉容を目の当たりにすることが出来る。全長42.32m、全幅5.66m、主材料は杉。発掘されるまで船が納まっていた竪坑は巨石で蓋をされて4500年間全くの手つかずだったので、全てのパーツが良好な状態で揃っていた。


黒河内、柏木両氏が携わっているのは、その(第一の)太陽の船が発見された竪坑の西隣。1987年に早稲田隊が電磁波レーザーによる地中調査で確認、その後2011年からエジプト考古庁と早稲田隊の共同で発掘が進んでいる。スパンの長い作業だ。第一の船と同様に全てのパーツが揃っている。ただ保存状態は良好ではなく、細心の注意を払いながらの木片採取作業になっているようだ。古代技術に関する広範な知識、作業員を束ねる人徳、デザイナーとしての直感。こういう復元作業は創建時の船の設計そのものよりもはるかに難易度が高い筈だ。有難いことに、後日発掘現場を見学させていただけることになった。


4500年前といえば、アブラハム、イサク、ヤコブらの旧約族長時代より古い時代だ。その時代の巨大木造船。ノアの方舟物語もこういう技術があったればこそだろう。


(写真は太陽の船博物館と、その後方に見える発掘現場を覆うテント。右はクフ王、左はカフラー王のピラミッド)

 

2015年12月17日木曜日

 
 

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