カイロ博物館

 


世界で一番やる気のない国立博物館を訪ねた。前回の訪問から30年近く経っている。前の印象は「倉庫の中をさまよった」今回の印象は「汚い倉庫の中をさまよった」


今建設中の Grand Egyptian Museum —GEMに展示物の移転が決まっているとはいえ、何だこのざまは。収蔵品が多すぎて倉庫状態になるのは仕方ないとしても、あまりにも汚い。発掘現場の方がまだきれいなのではないか。掃除ぐらいしなさい。割れたガラス窓ぐらい修理しなさい。照明も切れっぱなし、直射日光がツタンカーメン頭部の木像に当たっているじゃないか。こんなことだから、計り知れない価値を持つ世界遺産を誰も丁寧に扱おうとしないんだ。ファラオの石像の足元、宝飾品の展示ケースの上、そこかしこに飲みかけのペットボトルが捨てられ、ほこりを被った建材、脚立が至る所に放置されている。「ツタンカーメンのヒゲがとれちゃった問題」も根は同じだ。


ルーブル、メトロポリタン、トリノ、大英、、、収蔵品は全て海外に移動して相応しい展示環境に置いてあげたい。GEMに移転するといったって、こいつらが運搬するんじゃ、移動中に全部壊れちゃうだろう。どうなってんだ、、、全員解雇!ギャー!


怒りにうち震えながら出口に向かうと、こんなものがあった。足元にガムテープが貼ってあり、日本語手書きで「前」。日本の展覧会に貸出したときの運搬用クレートをそのまま使っているのだ。あ〜あ。

 

2015年12月12日土曜日

 
 

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