レクイエムの集い 2015

 


Musica poetica 今年の「レクイエムの集い」は11月12日、4年前に父の死んだちょうどその日と重なった。今年は、新しく母の名前もプログラムの追悼者名簿に加わっている。『音楽による葬送』(H.Schutz 1636 )と『無限曠野』(柴田南雄 1995)を聴いた。


シュッツのレクイエムを聴くのは初めてではないが、今回は字幕モニターの助けもあり曲に没入できた。3部構成のこの曲、特に第3部に激しく感応してしまう。バルコニー席にソリスト3人が立ち『ヨハネの黙示録』の「死者は幸いなり」を歌う。同時にステージ上の合唱は『ルカによる福音書』のシメオンの歌。字幕を上下2段に分けて同時に読めるようにした効果も相俟って、曲の内容が二乗で攻めてくる。


後半は初めて聴く柴田南雄の『無限曠野』。戦後シベリアに抑留されたまま帰国できなかった人たちへのレクイエムだという。重いテーマだ。実際にボクは体験したわけではないけれど、シベリアの曠野の絶望的な広がりはこういうものだと教えてくれるようなこの曲の平面拡散感は、シュッツの3次元的立体感と鋭く際立った対比をなしていた。


どちらも記憶に残る名演。

 

2015年11月12日木曜日

 
 

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