大内宿
大内宿
南会津の大内宿は、江戸時代の宿場町が改修保存されていてテーマパークのような風情である。大型バスで団体観光客が乗り付け賑やかなことこの上ない。無舗装の旧・日光街道を挟んで寄棟・茅葺き屋根の民家が妻面を街道側に向け軒を連ねる。街道沿いに南北3-400mほどのこのエリアは、南から北に向かって緩い上り勾配になっていて、街道の両側に流れる水路二本が心地よい水音を奏でている。
蕎麦を食べるためにここに来た。
大内宿の名物「ねぎそば」は箸代わりに1本の長ネギを使い、そばを掬うようにして食すことが特徴。時々薬味としてネギをかじる。食前の想像通り極めて食べにくいし、生のネギは相当辛い。皆途中で箸に持ち替えているようだ。そのこと以外は特に何と言うことも無いかけそばなので、こういう奇怪なことで客寄せをしようと思いついたのが案外効果的だったのか、何件もあるそば屋はどこも繁盛している。同じ観光地に何度も足を運ぶ人は滅多にいないので、そばの質よりも記憶に残る妙なことが優先されたのだろう。ただ、そばがきはふんわりとした独特の食感で美味かった。
秋は紅葉。冬の雪も美しいだろう。この景色は福島県と日本が黙示録的な状況を抱えていることを微塵も感じさせない。
2015年10月29日木曜日