17世紀の華
17世紀の華
「17世紀の華」シュッツ、シャイン、シャイト名曲選 「ムシカポエティカ」発足30周年記念コンサートシリーズ〜その3〜
自由だ。
音楽は、時代が下って形式が整えられ様式が堅固に構築されるにつれて、当初持っていた表現の自由度が徐々に失われる過程を歩んでいるのではないか。今演じられているものの大半は、自由のダシガラじゃねえか。そんなことまで思わせる程に自由を感じさせる演奏。
音楽に限らず、ある形式を持つ表現は(建築もそうだ)その発生時に、荒削りではあるが遠投力のある構想が生まれ、後進が時間をかけその形式を整備総合し様式にまとめあげるという流れを辿る。だから、ビザンチンとかロマネスクとかゴシックとかルネサンスとかバロックとかロココとかああだこうだ言う様式は、一定の賞味期限が経過すれば放物線を描いて落下し、いずれ飽きられ捨てられる。形式は、強い表現意欲の横溢にブレーキをかける方向で働く。
ムシカポエティカ主催の淡野さんは「天与の法則に基づいて音を組み立てた」とシュッツを評価するが、もちろん淡野さんの言いたいのは物理学的側面だけではないだろう。人は誰しも、決められたテンポで怒ったり、喜んだりしないし、3拍子で泣いたりしない。彼らドイツ音楽の祖は、実に豊かな感情をその音楽に編込んでいる。形式の呪縛を超え、様式に囚われることなく。
与えられたコンサートホールと言う形式の中で(コンサートホールという建築形式はシュッツの時代には存在していない)17世紀の「自由な」音楽に向い合う何とは無しの違和感。この演奏が活かされる場をつくらねばいけないんじゃないかと思いながらの帰途。
2014年7月5日土曜日