一神教と国家

 


中田考(なかた・こう)というムスリムの学者に内田樹が話を聞く、という本が集英社新書から出ている。読んでみた。


驚いたことに、中田氏はイスラーム学者というだけでなく、イスラームに入信していて、カリフ制再興を目指して世界を放浪しながら活動しているという。


カリフ制は、ムハンマドの死後1400年間に渡ってイスラーム共同体を束ねる指導体制だったが、20世紀に入って帝国主義的列強の圧力を受け、トルコのケマルパシャが廃止。中田氏は現在のイスラーム世界を取り巻く混乱は、カリフ制の廃止がその原因になっているとする。北アフリカからインドネシアに至るまでの地域で、一つの神を奉じ、同じ言葉を話す16億の人間が国境を越え共生するダイナミックな構想。


国家という枠組みがもはやグズグズで崩壊しつつある現在、イスラーム信仰をベースとした超国家連合体は魅力的に響く。


夢を叶えるには、暴力ではなく祈りの力を信じるしかないだろう。

 

2014年3月13日木曜日

 
 

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