レクイエムの集い

 


三鷹市芸術文化センター 風のホール


プログラムにAさんと父の名前を追悼のため掲載していただき始めて、それも3回目。今年は愛子さんの名前を加えることになった。


H.シュッツ:「宗教合唱曲集」より 第11番 <わたしはイエス・キリストの御許へ> SWV379 

J.S.バッハ: モテット <恐るるな、われ汝と共にあり> BWV228 

F.メンデルスゾーン: <挽歌> 作品116 <夕べの祈りの歌> 作品121 

江端伸昭:女声3部合唱とピアノのためのコンチェルト <海のヴァイオリンがきこえる> (詩:鈴木ユリイカ)


プログラムの前半はシュッツ、バッハ、そしてメンデルスゾーン。メンデルスゾーンの男声合唱が沁みる。


後半は作曲者自らのピアノ伴奏で。バルタザールの隅の方でニコニコしながら人の会話に耳を傾けている物静かな江端さんと同一人物とは思えない雄弁な曲/ピアノだ。難曲といってもいいのだろう、指揮者の淡野弓子さんが指揮してるのは当たり前なのだが、気づくと譜めくりの淡野太郎さんも右手をフリフリ拍子を数えている。


「アルブレヒト・デユーラーのメレンコリアⅠ」はボクも大好きな作品で、複製を仕事場の机の前に貼っていた時期もあった。その版画の幾何学的で硬質なイメージと、液体に満たされた不定形な海の漠とした様子がこの曲の中には共存しているように感じる。


今更言うまでもないが、淡野弓子さんの触覚は未知の曲に対して常に鋭敏に開かれていて、演奏会の度ごとに新しい生き方を我々にも提示し続けている。新しい曲に出会うことは、新しい人間に変えられることでもある。

 

2014年11月15日土曜日

 
 

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