マラウィ博物館
マラウィ博物館
エジプトにマラウィ博物館というのがある(正確に言うと「あった」)のを、そのテレビニュースを見て初めて知った。ニュースが伝えていたのは、博物館が騒乱の中で襲撃され、展示品のほとんど全てが略奪されたということ。テレビ画面では彩色人形木棺が笑顔のままひっくり返っている。収蔵品と共に博物館そのものが消失し、インタビューを受けている学芸員も絶句したままだ。奪われたお宝は全部で1040点。全展示品1084点のうち重たくて移動困難なものは残され、その場で破壊されていたという。
一瞬、カイロのエジプト考古学博物館が襲われたのかと思ったが、別の博物館だった。そもそもカイロ博には20万点とも25万点とも云われる、桁が二つも多い収蔵品がうなっているので、短時間の襲撃で全てを持ち出すのは不可能だろう。
世界の博物館やコレクターの屋敷にあるエジプトの文化遺産の多くは、王や貴族の墓を暴いて収奪したものである。5000年の歴史を誇るこのジャンルで、文化財の保存や研究という概念が芽生えたのは、ナポレオンのエジプト遠征が契機となったほんの200年程前のことにすぎない。
2013年8月21日水曜日