風立ちぬ

 


宮崎駿の『風立ちぬ』を見た。ほぼ満席。


冒頭、引用されていた堀辰雄「風立ちぬ」の

 "Le vent se lève, il faut tenter de vivre"

はヴァレリーだったのか。知らなかった。かなり恥ずかしい。泣けたのは、それが原因というわけでもないが、、、


関東大震災、恐慌、結核、戦争、、、直前に見たベルイマン『第7の封印』と背景が重なる。さらにこの状況は現在とも酷似して見える。311、経済不安、核の恐怖、好戦的な指導者たち、、、映画では、山盛りのクレソンをムシャムシャ食べる預言者的ドイツ人の言う「破裂」がやってきて、全てを根こそぎにする。


美しい機体の流れるような飛翔は、ほんの僅かな綻びによる墜落の危険を常に孕んでいる。全編に渡りヒリヒリするような緊張感が張りつめている映画だ。遠い砲撃音のような「ズーン、ズーン」という振動を伴う重低音が不気味に鳴り続けて、その緊張感を持続させる。


映画から一夜明けて8月15日。敗戦の頃、加藤周一さんが堀辰雄の主治医だったことを思い出した。


わたしは命と死および祝福とのろいをあなたの前に置いた。あなたは命を選ばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫は生きながらえることができるであろう。(申命記30:19)

 

2013年8月15日木曜日

 
 

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