西洋音楽

 


久し振りに参加出来たSDGは、ソプラノの淡野桃子さんをソリストに迎えたBWV51と、演奏機会が極めて少ないBWV88、さらにシュッツのア・カペラ合唱曲。「桃子効果」によって、多くのお客さんで会場は溢れた。


幸せな演奏会だった。


終演後、いつものバルタザールで打ち上げながらおしゃべり。淡野弓子さんの話はいつも刺激的だ。彼女がシュッツやバッハに取り組むことになった理由は、それが「西洋」音楽というジャンルだったからではない。音が物理的あるいは数学的に内包する倍音の世界に「西洋」がいち早く気づき、その世界を組み立てていたからだ、という。


倍音は、人間が恣意的に作り出したものではない天与の法則である。シュッツやバッハが、ヒューマニズムや啓蒙思想の荒波に揉まれながらも現代に於いて少しも色褪せないのは、彼らが人間の作ったものを用いたのではなく、自然が与えた倍音の法則に基づいて音を扱ったからだ。


そう話す彼女の視線は無限遠を射る。

 

2013年7月1日月曜日

 
 

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