都議会議員選挙投票日の前日、土曜の午後。吉祥寺駅北口ロータリーはただならぬ大混雑。マイクロバスの屋根の上に乗って手を振り回しながら、スーツの男が早口で何か叫んでいるからだ。警官が大量動員されて交通整理をしているが、警官のメガホンも大音量、屋根の上の男が何をしゃべっているのか聞き取れない混乱である。

「黙れ。この人から出て行け。」

（マルコ１：２５）

マルコの言う「汚れた霊に取りつかれている人」というのは、こういう人のことなのかもしれない。『独裁者』のチャップリンの演技など連想しながら人波に揉まれつつ脇道に逃げると、立て看板には「吉祥寺に総裁来たる」の文字。

雑踏を抜け鈴木さんちのオープンハウスに向かう道を歩いていくと、道の反対側から植田実先生が歩いて来る。

「こんにちは。」

「ああどうも。すぐ近くですよ。」

先生に道を教えられ辿り着くと、千客万来、真新しい住宅の中に人間が充満している。鈴木さん、光嶋さんと立ち話。中島工務店の方にお話を伺ってから退散。

どこに行っても人口密度が高い日だった。