笠森寺観音堂

 


笠森寺観音堂(1592-95   重要文化財 千葉県長生郡長南町)


雨の夕方5時、房総半島の真ん中、天台宗別格大本山・大悲山笠森寺に着いた。今井兼次の大多喜町庁舎を見に行った後、前から気になっていたこの場所に寄ってみることにしたのだ。何が気になっていたかというと、ここの観音堂は日本唯一の「四方懸造」と呼ばれる構造だから。懸造というのは三仏寺投入堂や「清水の舞台」のあれである。それが「四方」あるのだという。


駐車場から傘をさして、観音堂めざし長い階段を登る。この山は頂上部分が露出した岩峰になっていて、そこに観音堂があった。四方八方を見渡せる岩山の頂きに覆い被さっている。これが四方懸造。(浮世絵は二代目・歌川広重)


入場は4時半までだったので下から見上げるだけだ。もし上に登って周りを見渡しても雨と霧で何も見えなかったろうが、空中浮揚感は高まっただろう。残念至極である。


しかしまあ、高いところに登ること/そこから遠くを見渡すこと/空中浮揚することに別段興味がある訳でもない。こういう困難な場所に、力づくで建築しようとするその心情に興味があるのである。


「狭い門から入りなさい。」(マタイ7:13)

 

2013年5月14日火曜日

 
 

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