ホワイトハウス

 


師匠・磯崎新のデビュー作だという吉村益信アトリエ、通称「新宿ホワイトハウス(1957)」が改装中であるという噂を聞いた。個人のアトリエであったため場所は公表されておらずネットで調べたぐらいでは分からないが、我が事務所と同じ百人町にあるので、あるとき街歩きをして場所は確認してある。工事現場を訪ねて中を覗かせてもらった。


4月半ばからカフェになるらしい。


接道は南側、東西辺が長い長方形平面の木造2階建。もともと浅い切妻の総2階建だったようだが、西側妻面に片流れの増築部分が継ぎ足されている。建物の東側は3間x3間、2層吹き抜けの立方体に近い空間になっていて、西側1階に台所と浴室が押し込まれている。吹き抜け北面に沿ったオープンの直階段で2階に上がると、踏み込みと小部屋。2階の小部屋は腰壁の上に引き違い2本溝4連の障子、吹抜けを見下ろせるようになっている。芸術家のアトリエだからだろう、壁を大きく連続させていて、開口部は控えめであるが十分明るい。南側立面上の開口部は、正方形に近い矩形の開口部が4カ所、縦横2列に規則正しく並ぶ。1階掃出しの2つの開口上部には連続する小庇。


師匠、基本的な空間構成の癖は、この頃既に出来上がっていたようだ。


道を挟んだ南側の隣地がレンタカー屋の露天駐車場になっていて、職安通からも遠望出来る。棟木が大きくたわんでいるのが気になる。

 

2013年3月12日火曜日

 
 

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