二川幸夫
二川幸夫
二川さんの訃報を聞いた。先日、写真展を見に行ったばかりだった。
民家の写真を発表して写真家として歩み始めた二川さんが、御自身最後の展覧会のため、その民家の写真を選んだのは死を意識してのものだったかも知れないと、ふと思う。彼自身が築き上げた建築写真正統の流れを円環として閉じ、生涯を完結させると同時に、無限に循環し影響を及ぼし続ける古典とする仕掛けなのかもしれないな、などと。
二川さんは、真の古典を知る建築史家の目でファインダーをのぞいていたに違いない。グールドとゴールドベルク変奏曲の関係を想起させられもする。
二川さんがいないと、我々若造は不安になる。
2013年3月11日月曜日