都市|ソラリス
都市|ソラリス
展覧会『磯崎新|都市ソラリス』のオープニングに行ってみたら、クルド人アーティストKさんに再会できた。彼は日本にもアトリエを持っていて世界を飛び回っている彗星のような人だ。アイデンティティーはもちろんクルド人だが、出身地はイラクの領土内。彼の故郷クルディスタン(地図)は全域が他国の国境線によって切り刻まれている。イラク、トルコ、シリア、イラン、アルメニア、、、ノアの方舟が着地したとされるアララト山はクルド人居住区にあるという。
日本は島であるが故に基本的には他国と地上の国境線を共有することが無いのだが、昨今は「防空識別圏」という聞き慣れない言葉が乱れ飛び、領海とか領有権とかいう単語と相俟って、国とは何か、をつい考えてしまう機会が増えた。
行政単位としての国や都市は未来永劫続くものではなく、あくまでも暫定的なもので、興ったり滅びたりを繰り返す。国境線も常に変化する。磯崎新の展覧会『都市|ソラリス』は、その混沌の一断面を予測するものとも見える。
国境線で囲まれた国土を持たず、国について我々とは全く違った感覚を持つであろうKさんは、この展覧会をどう見ただろう。
2013年12月18日水曜日