沼津

 


久し振りの故郷沼津。今回は雨模様。懐かしい千本松原に海を見に行った。


沼津で過ごしていた少年時代は、夏は山で駆け回り、冬は海を見に行っていたような気がする。夏草冬濤。ボクは泳ぎが苦手だったので、積極的に海水浴に行く子供ではなかった。海は見るためのもの。


千本松原の堤防を上り切った瞬間、その頃と同じ冬の海が眼前に広がった。左に沼津港、その先に延びる伊豆半島、右には田子ノ浦に向かい美しく弧を描く海岸線。左右を繋ぐ遠い水平線。富士のある風景もいいが、富士を背にしてみる駿河湾は格別である。この胸が締め付けられるような感覚は何だろう。


静岡県は1960年代初頭に、沼津市を含めた東駿河湾一帯を重化学工業の最重要地域と位置づけ、大規模な石油コンビナート計画を進めようとするも、住民による反対運動で計画は頓挫、駿河湾の自然は危機一髪、辛うじて守られた。「お上」や「資本」にたてついて、市民が自然を守るために立ち上がった住民運動の嚆矢である。この成功が公害対策基本法を制定するきっかけにもなった。


いつ帰っても、少年時代と同じ自然が迎えてくれる。知恵のある先達がいた沼津を誇りに思う。

 

2013年11月11日月曜日

 
 

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