第九〜宗教曲としての視点から〜
第九〜宗教曲としての視点から〜
演奏会当日雨模様の朝、楽器を持って新宿文化センターに向かう。演奏者としてここに来るのは学生時代以来、四半世紀以上振りだ。会場に着くとコンサートミストレスの瀬戸瑶子先生が急病、ドクターストップとのニュースが走っている。同時に外では大雪が降り始めていた。
瀬戸先生の不在によって、1st.Vn.は8人から7人になり、コンミス席には山中美樹子さんが座ることになった。隅っこで弾くボクは、安定したチェロ軍団と、重戦車コントラバストリオの間に挟まれる位置になる。
雨女から今回「雪女」に昇格した淡野弓子さんが本番前日の練習時に言っていた言葉が、当日の演奏を支配していたように思う。「『歓喜の歌』と云っても、何が『歓喜』なのか、それが曖昧なのだ。歓喜とは、無限に続く倍音の世界の先に創造主を感じたその瞬間、打震えて出る『Freude!』の歌声である。」
今回金管群が全てバルブのないナチュラル楽器で揃えられていたのも、天然の法則「倍音」の神秘に可能な限り接近しようとする計らいだったのだろう。
体の全センサーを全開にして、メンデルスゾーンとベートーヴェンを歓喜とともに駆け抜ける。大雪の中、お出かけくださった聴衆の皆様に感謝。
2013年1月15日火曜日