シュールストレミング

 


世界一臭いと言われているシュールストレミングを食べた。


ドリアンや納豆、くさや、鮒鮨、ホンオなど、臭いものなら何でも来いなのだが世界一だけは未体験である、などと機会あるごとにいろんな人と話していたら、ある日「それうちの冷凍庫に入ってる」という御仁に行き当たった。


料理人にして写真家、はたまた画家であり文筆家でもある西川治さんだ。いつものように直前に電話をかけ、迷惑顧みず彼の事務所を襲撃することにした。「シュールストレミングだけ食べるってのもですね、、、」と電話でモゴモゴしてると「わかってるわかってる、他の料理もあるから」


こちらは5人。いつの間にか西川さんは美女3人を呼んでいて、総勢9人で世界一に挑むことになった。


ナポレオンとジョセフィーヌの話を聞きながら、テーブルの上に鎮座している少し膨らんだ大きな缶詰を眺める。昨日まで冷凍庫に3年間程入っていたという。冷凍しないと缶詰内部で発酵が進み、爆発してしまうらしい。缶を開けるときは屋外で開けるのが鉄則。「世界一」の液体が、発酵で高まった缶の内圧に押し出され、激しく噴出するかもしれないからだ。ホントに食品なのか、この危険物。じゃんけんで勝ったO嬢が ビニル手袋をしベランダに出る。封をした大きなゴミ袋には、缶詰と、使い捨てるつもりで買った100均の缶切りを入れ、袋の外から操作して缶に刃をたてた。


「プシ〜」という不気味に小さい音。ここは都心の住宅街なのに、なぜか山小屋のトイレの匂いがしてくる。


皿に移し、薄切りバゲットに少量載せて食べてみた。かなり塩っぱい。臭いアンチョビみたいなもんだな。火を通したりすると一気に凶悪化しそうだ。念のためもう一口。部屋中を支配する山小屋の匂いに慣れて嗅覚が麻痺しているのだろうか、「世界一」なのに一応食べ物みたいな味がする。缶詰ごとの個体差もあるのだろう。もしかするとホンオのアンモニア刺激臭のほうが強烈かもしれない。


前菜のシュールストレミングの後は、西川シェフの料理に移行。不安無く美味しい。

 

2012年7月13日金曜日

 
 

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