入学式

 


春爛漫。裕希の高校入学式。


中高一貫の女子校である。韓流コンサートに紛れ込んでしまった場違いのひとりぼっちおじさん、を想定して恐れていたが、思ったよりも父親の姿が多い。講堂に集まり、空腹でお腹が鳴るのではないかと心配しながら校長の式辞を承る。


「高校一年は自分を見つめ直す時間だ」と仰る。翻訳すると、理系か文系かを決めなさい、ということらしい。


自分の高校時代を思い出した。理系文系の狭間でどちらとも決めかねていた高校時代のボクは、「理」に関しても「文」に関しても等距離の立ち位置が居心地良く、つい「建築」という道を選んでしまった。日本では理工学系の学部に建築学科があることが多く、受験準備は止むを得ず「理系」として臨むことになる。高校時代の教師に芸大の建築に興味があると伝えたら、一笑に付されたことも影響している。仮に芸大の建築に進んでいたとしても、卒業後はそれほど違う道を歩んでいたとも思えないのだが、それは考えても意味の無いことだ。


式典後裕希に会うと、クラス分けが期待はずれで仏頂面をしている。風の強い校庭で記念撮影。


帰宅途中、去年と同じ位置に巣を作ろうとして飛び回っているツバメを見つける。嬉しい。

 

2012年4月10日火曜日

 
 

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