点字
点字
表面がデコボコしてる名刺をいただいた。(写真はその裏側)普通に印刷された名刺の上に、あとから点字で名前が打ってある。父がその昔、点字教室を開いていたことを、おぼろげながら思い出した。
現代建築の大きな特徴の一つに、フラッシュネス(flushness )があると言われている。日本語では面一(つらいち)と呼ばれ、隣り合う二つ以上の面が、材料の違いにも関わらず、高さ方向/水平方向に同一平面上にあること、平らにおさまってることを指す。様式的な建築が、デコボコ彫りの深い表情をしていたのに対し、現代建築は光が当たっても、複雑な影ができず、どちらかというとのっぺりした表情を見せる傾向にある。
時代を遡る。ピラミッドは今でこそ石を積み重ねたガタガタの表情を見せているが、竣工当時表面は平らに仕上げられた石で、まさに面一で出来ていた。積み重ねたものを後でもろともに磨くのであるから、平らになって当たり前だ。
面一はもともと石造文化の語彙である。
ものの凹凸が陰影を生み、触覚に大きな違いを感じさせるのと対照的に、面一でつくられたものは同一面内に陰りが無く触覚の違いは微少である。スマートフォンやタブレットの表面はその表示内容や機能と無関係に真っ平ら。自ら発光していて隅々まで明るい。
点字の名刺を読む時に指先でそっと触る人のことを思う。
2012年3月10日土曜日