王樹
王樹
ツルツルピカピカが好きなの?それともザラザラがいいの?これは個人の趣味嗜好に関わる問題でもあるのでどちらが良いとか悪いとかのことではない。のだけれど、ザラザラ派が評価されるとこちらもうれしくなる。
今年のプリッツカー賞は、中国人の王樹が受賞した。48歳だそうだ。
ネットの受賞記事で彼について初めて知った。作品の写真を見ると、ローカルな条件を使いこなすことに長け、それが現在的な建築の機能・形体に無理せず馴染んでいる。ローカルとは気候風土のみならず、建築の生産体制を含む、ある地域に特徴的な条件全てのことを指す。特に材料の選択と施工法に彼の力量と信念が現れている。
ツルツルピカピカの工業製品を装った高精度の建築とは対極にある、ザラザラした触覚の大様な構成は、一時的な流行やら中国が将来迎える経済や雇用の状況にも影響されない強度を持つのではないか。バブルに沸いていた中国では、例外的に時間の試練に耐える態度と見えるが、今後を注視しよう。
現代中国の建築に携わる人たち、特にツルツルピカピカを受容愛好推進しつつ「文化」をスローガンにしてきたデベロッパーやその御用建築家たちが、王樹の作品をどのように見るのか知りたい。
2012年2月29日水曜日