紙上の技法学
紙上の技法学
@吉祥寺美術館
コレクター石井昭氏が集めた絵画、工芸作品が筑波大学に石井コレクションとして寄贈されていて、その中から紙の上に表現された作品を取り上げて展示している。よかったのは、加納光於のレリーフプリントと難波田史男のインク画。猪熊弦一郎の小品は、手元に置いておきたくなる。
石井氏の蒐集も素晴らしいうえに、この美術館、空間が小振りで展示作品も小さいものが中心になるものの、いつも大人の作品を見せてくれる。入場料100円万歳。
矩形の紙の上に何かが書かれているのを見ると、そこに不可視の補助線を探して隠された黄金比を探そうとしてしまう。職業病だ。だがコルビュジエも「モデュロール」のなかで断言しているように、黄金比を使っているからといって、その建築、絵画、彫刻、音楽が美しいとは限らない。
創造に携わる者は、空間の中で/白い画布の上で/大理石の塊の内部で/あらゆる響きのなかで、隠されている無限の補助線の組み合わせ中から、ほんの僅かな黄金を発見し、選択し、組み合わせるよう、なにものかに求められている。悪戦苦闘の挙句、大概打ち負かされるのではあるが。
2012年2月20日月曜日