北京3−3
北京3−3
古代建築博物館では、多数展示されている木造の模型が良い。単なる木の模型ではなく、木造の模型である。我々が通常つくっている建築の模型は、コンクリートや鉄などの建築そのものの材料/構造形式とは関係なく、造るのに適した材料をその場その場で選択する。スタイロやアクリルなど、カタカナの材料が多いな。ところがここに並んでいる模型は、当然なのかも知れないが木造建築を同じ材料=木で造っている。柱、梁、桁、貫、垂木といった構造要素がそのままの組み方で小さくなっただけ。構造だけ取り出せば本物と変わりない模型、雛形だ。多くは1/20、肘木や升の木組みまで精巧に造られている。この高精度の手仕事は、実際の建築施工となると活かされず、残念なことになってしまうことが多い。それとも古建築の領域では、60-70年代の断絶無く、伝統は継承されているのだろうか?これらの模型がいつ造られたか知りたかったが、ガードのおばちゃんとは対話成立せず。
博物館には10m四方ぐらい、1/1000でつくられた中華民国当時の北京中心部の模型があった。これは明らかに新しい模型だ。暗くて良く見えない。客が全くいないので模型用の照明を切ってるのだ。無理矢理頼んだら嫌そうな顔をしながら点けてくれた。模型上の1mは実際には1km。今日歩いた距離がだいたいわかる。近年ニョキニョキ建った高層ビルをこの模型に入れるとずいぶん印象が変わるだろうが、故宮を通る中心軸をはじめ、都市計画の基本的な骨格は全くぶれないだろう。左右相称は強烈である。
博物館を出たら大雨だ。風も強くなってきた。地下鉄の駅まで3キロぐらいかな。最初の誓いを破ってタクシーを拾おうとしてもタクシーが来ない。しょうがないからまた天壇公園を横切って駅に向かう途中、楽しい路上セッションに出くわした。公園入口の大きな門の下、雨に濡れないところで二胡2、月琴(?)2、チェロの5人がいかにも中国!という音楽を合奏している。さらにしばらく歩くと天壇の中にある屋根付き回廊では、雨宿りの最中だろうか、多くの中国人たちがアコーディオンを伴奏に合唱している。Red River Valley の中国語版だ。同じような輪が回廊のあちこちにいくつもある。こういう局面で知らないもの同士が輪になり同じ歌を歌うことが日本にはあるだろうか?実に楽しそうだ。楽しい。
一旦ホテルに帰り、少し休んだ後で雑技団を見ようとしていたけれど外は嵐の様相。2万歩以上歩いて脚もお疲れのご様子。今日はもう大人しくしていよう。
2012年11月3日土曜日