左官コーディネーター
左官コーディネーター
先日、坪川監督の映画『アリア』上映会でお会いしたジャン・ピエール・テンシンさん(長野県出身)が、事務所に来てくださった。彼の名刺には「映像作家・美術家・左官コーディネーター」とある。
左官材料メーカーの営業担当Sさんを伴い、最初のうちは「左官コーディネーター」としての顔をしていたのだけれど、一通り話が終わると「映像作家・美術家」に変身、次から次へと細胞が活性化するような、実に興味深い話が続く。変身したとはいえ、彼の中ではその3つの顔が矛盾無く同居している。どの顔も真っ直ぐ幸せの方角を向いているのだ。
「左官コーディネーター」としての話を聴いて印象に残ったのは静電気のこと。本物の漆喰(本物の、とわざわざ書かなくてはいけないのは、樹脂系の材料を混入したニセモノが多いため)は、静電気を発生させないのだそうだ。ビニルクロスの壁紙や床のウレタン塗装は静電気を発せさせ易く、ホコリをピタッと吸い付けている。それを合成高分子化合物系の掃除用具で擦り、さらに静電気を大量発生させる。吸引力のでかい掃除機が開発され選ばれるのは、静電気で吸着してしまったホコリを無理矢理はがさなければならないからだ。ハタキをかけ、ほうきで掃く昔ながらの簡単な掃除でいつまでもきれいでいられるなら、そちらを選ぶのが幸せだろう。
2012年11月29日木曜日