加速する私たち
加速する私たち
新宿西口地下一階のイベント広場は、時々興味深い展示をする。今日世界堂に寄った後で横切ってみたら、橋梁やダムなど土木工事の手描き図面が展示されていた。明治期から昭和初期の土木エンジニア達が烏口で描いた美しい図面に暫し見とれる。
CADが広まり、誰でも少し学べば図面が描けてしまう現在から見ると、展示されている図面は過去の文化遺産そのもののように見える。これらは、優れた技術と溢れる熱意を併せ持った人のみが、精魂込めて漸く仕上げることのできた、血と汗と涙の結晶と言っても良い。
CADの図面は、修正やレイアウト変更など、描きながら躊躇せずバンバンできるし、地球の裏側まで瞬時にデータが送れるので、普及し皆が使い始めた頃はずいぶん便利なものだと思っていたが、便利さには落とし穴があるのが世の常だ。失われたものは、いつも、あまりにも大きい。
今日はこれから、楽しみにしていた井桁さんの個展初日。(12月1日まで)
私たちの何が加速しているのか、確認しに行ってこよう。
2012年11月22日木曜日