家具
家具
様々な家具を調べる必要に迫られ、ソファー、椅子、テーブル、デスクなど、過去の名作から現代のものまで可能な限り目を通してみた。
こういう時、特定の編集に頼らず、ネット上に出回っている情報を等価に並置するのは、これまでの評価という偏見を取り払う意味では有効だ。だが、それにもまして自分の個人的な体験が、結局のところ善し悪しや好き嫌いの判断に決定的に影響することもわかる。
ボクの場合、コレクター・シェイク・サウド(H.E. Sheikh Saoud Bin Mohammed Bin Ali Al-Thani)の集めていた1920~30年代の家具と同時代のものが気になる。カタールの中央部、マシンガンに守られた砂漠の倉庫で、モノを実見してしまったからだろう。
1930年頃、インドのマハラジャが独人建築家エッカール・ムテジウスに設計を依頼したManik Bagh Palaceには、当時最先端のデザイナーが競い合うようにしてデザインした様々な家具がうなっていた。後年、20世紀も終わりに近づいた頃、カタールの王子シェイク・サウドは、まとめてオークションに出たこの宮殿の家具を買い占め、砂漠の倉庫に送った。それを見てしまったのだ。
J.E.ロールマンやE.グレイらの家具は「特注」で「1点もの」とはいえ、その後にやってくる大量生産をも射程にした工業材料の利用や線の単純化が指向されていて、過去の終焉と新時代の始まりが、一つの家具の中に同居している。これらは、時を経てなお当時が大きな時代の画期であったことを教えてくれる貴重な歴史の証人でもある。
2012年10月17日水曜日