宗教合唱曲集

 


金曜夜は「宗教合唱曲集」(H.シュッツ)@東京カテドラル


29曲を4つのグループに分けての演奏。

1 亡き方々を悼んで

2 平和を願って

3 救い主を待ち、降誕を祝う

4 イエスは語る


Aさんが亡くなり、葬儀に参列したあとに棘のような違和感が残っていた。冒頭の演奏「わが神の御旨は」が静かに始まった途端にその棘が抜けていく。抜けた拍子に落涙寸前である。


わが神の御旨は常に現れ

その御心は最上のものだ。

神を堅く信じるものを助けようと

彼は準備しておられる。


彼は信じるものを苦悩から救い

限りなくこの世を慰められる。

神を信じ、堅い信頼を神に寄せる者を

彼が見棄てることは決してない。


淡野さんに感想を申し上げたところ「お祓いね」ですと。なるほど。


最前列で古楽器の演奏者の方々の息づかいまで聴こえる位置だった。羊の腸を乾燥させて細く撚った弦に、馬のしっぽの毛に擦りつけた松脂粉末の一粒一粒が喰いつきめり込んで痺れるように振動する。そのざらざらした直達音と、カテドラルのHPシェルコンクリート打放内壁まで飛んで戻ってきた反射音が混ざり融け合い、綺麗なだけでない複雑で深い音がする。冒頭の一音でノックアウトだ。演奏者の方々は自分の音が客席でどのように聴こえているか判っているのだろうか。演奏者は皆、自分の出している音を客席で聴きたいと思うだろう。音楽をやるものが一度は指揮者に憧れる訳だ。


合唱:ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京 

器楽:ムシカ・ポエティカ古楽アンサンブル 

バロック・ヴァイオリン 渡邊慶子 

ヴィオラ・ダ・ガンバ 福沢宏/中野哲也 

バロック・チェロ/バス・ド・ヴィオロン 西澤央子 

ヴィオローネ 西澤誠治 

バロック・トロンボーン 萩谷克己/宮下宣子/巻島俊明 

ドゥルツィアン 淡野太郎 


指揮:淡野弓子

 

2011年9月16日金曜日

 
 

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