師匠・磯崎新とアニシュ・カプーアによる可動コンサートホール案 <ARK NOVA> を見る。

その目的は、東日本大震災の被災地へ「希望と約束」をもたらすことだという。磯崎さんは以前クルド人自治区でノアの箱舟計画をしかけようと考えていらっしゃったようだが、ここでもまた箱舟が登場した。アニシュ・カプーアとは、磯崎さんのカタールの仕事の時にご一緒させてもらい、得難いすばらしい経験が出来た。近年、彫刻のスケールをはみ出て、巨大な建築的造形を手がけている。建築家が協働してみたいアーティストの筆頭格だろう。

創世記６章７章に曰く、

6:13 すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。

6:17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。

6:18 わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。

6:19 また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。

7:7 ノアは妻子や嫁たちと共に洪水を免れようと箱舟に入った。

7:23 地の面にいた生き物はすべて、人をはじめ、家畜、這うもの、空の鳥に至るまでぬぐい去られた。彼らは大地からぬぐい去られ、ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。

箱舟は希望と約束のメタファーであり、同時に絶滅とカタストロフの象徴でもある。そして、想定外の洪水は現実となる。

黄忠、イロニーの切れ味ますます鋭し。

果たして我々はノアの家族たれるか。