ドリアン

 


「果物の王様」ドリアンを食す。


ドリアンにも、リンゴやイチゴなど他の果物と同様種類がたくさんあって、それぞれ味も香りも微妙に違うことを知る。


刺の満遍なく生えた怪獣のような見てくれの殻を包丁でズドンと割ると、熟れた黄色い果肉が姿を現す。同時に「玉葱の腐乱臭」「都市ガスの匂い」と喩えられる独特の強烈な香りが周囲を支配する。トリュフの香りと傾向は似ているが、その強さは比較にならない。どっしりとした果肉を手掴みで殻から取り出し頬張る。食べているというよりは、強い甘みの中に自分が入っていく感覚だ。これほどの恍惚感をもたらす食べ物はそれほど多くないだろう。


甘みと香りの海で溺れそうになりながら食べていると、相当の満腹感である。かなり高カロリーのようだ。


ドリアンと同時にアルコールを飲むと、死につながるという言い伝えが信じられている。それだけでなく、ドリアンを食べすぎると死んでしまうとも言われているようだ。死と隣り合わせになって、初めて恍惚の高みに昇っていけるのかもしれない。その辺りは、フグと近い。


できるだけ大勢でワイワイ言いながら食べるのがよろしい。一人二人でこっそり食べていると、間違いが起こりそうである。

 

2011年6月21日火曜日

 
 

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